BLOG - November, 2010

素材のアドバンテージを最大限に生かすフォルムとは

Yohei

私たちSimplismは、続々と新iPodシリーズに対応したアクセサリー製品の発売を開始しています。
先日、既存のシリコンケース、プラスティックハードケースに加えて、「TPU」という新しい素材を使用したケース、
「TPU case set for iPod touch 4th」を発売しました。
このTPUケースの開発は、今まで扱ったことがない素材ということもあり、完成までに苦労に苦労を重ねることになりました。
しかし、様々な課題を乗り越えることで最終的にはその苦労に見合った仕上がりとなりました。


TPUとは

TPU(Thermoplastic Polyurethane)とは、ポリウレタンの一種で、ゴムのような組成で有りながら、燃焼時にはダイオキシンなどを発生しない、エコフレンドリーな素材です。
最近では、サッカーボールや靴底など、様々な用途に使われています。

iPodなどのケースとしては、以下のような特徴があります。
・硬度の調整幅が広い
・伸縮性に優れ、シリコンに比べて形状が安定している
・ポリカーボネイトに比べ破損や汚損に強い
・明るい発色が再現しやすい
・シリコンに比べ埃などが付きにくい
・ポリカーボネイトに比べ、保護物への耐衝撃性能が高い

既存の素材に比べて、上記のような明確なアドバンテージがあるため、今回のiPod touch 4th用のケースから開発にチャレンジすることにしました。


TPUの問題点を乗り越える

TPUという素材は、前項で書いたアドバンテージが多数ありますが、問題点もいくつかあります。
一つ目の問題点としてはシリコンなどに比べて金型が大型になり、金型の完成まで3倍以上の時間がかかるということです。
完全にSimlismオリジナルの金型を作っているため、もし失敗したときは、金型の作り直しに1ヶ月近く時間がかかってしまいます。
それでも私たちは、今回大きなチャレンジをしました。
それは、薄いiPod touch 4thのフォルムに合わせた、非常に薄いケースにするということです。
他社製のTPUケースを集め、研究してみたところ、殆ど1.8mm以上の厚みがあり、ほぼシリコンケースと変わらない厚みになっていました。TPUはシリコンケースよりも形状安定性が高く、極限まで薄くしてもずれにくい、という特性を最大限生かすために、今回私たちは、背面の最薄部で1.0mmというギリギリの厚さに設定しました。tpu.jpg
しかし、耐衝撃性を極力落とさないために落下したときに衝撃を受けやすいサイド部分の厚みを確保、1.4mmとしました。
また、ただでさえきつい角度で取り付けられているiPod touch 4thのボタンの操作感を損なわないように、ボタン周りはさらに薄い、0.6mmとしました。

これは、図面上ではiPod touch 4thの薄いフォルムを生かしつつ、耐衝撃性能を十分に確保した、最適なサイズ設定ではありましたが、実際には工場もこの薄さのTPUを作ったことが無く、しかもTPUの場合は金型を作らなければサンプルを確認することが出来ないため、当初はエンジニアから非常に強く反対をされていました。
しかし、TPUという素材の良さを最大限生かすために、万が一金型が失敗しても仕方がない、という決意で金型の製作を強行しました。T4TPU_switch.jpgこれは制作を開始するときのラフ図面ですが、サイズは殆どそのまま実現できていることが分かります。
無事に完成した今、思い返してみると、かなりのギャンブルだったと思います。
しかしその甲斐もあり、今現時点でのiPod用のTPUケースとしては世界最薄でありながらも強力な保護性能を持ったケースになったのでははないかと思います。

2つめの問題は、TPUはビニールのような特殊な質感だということです。そのため、iPod touchのステンレスボディに密着すると水たまりのような「シミ」が出来てしまいます。
これを防ぐために、内側をサラサラしたフロストのようなフィニッシュにすることで、TPUとIPodが密着しないようにしました。


Simplismのオリジナリティ

金型製作に多大な時間と苦労がかかることもあり、他社製のTPUケースでは「有り物」の金型を使っているところが見受けられます。こういった金型の場合、日本だけではなく中国や欧米へ向けて作られたものが多いため、日本独自の文化とも言える「ストラップホール」の無い物が殆どです。
TPUはシリコンに比べて強靱なため、ストラップを付けるのに非常に適しています。
100916_011a.jpgもちろん、「Simplism TPU case set for iPod touch 4th」にはストラップホールを装備しました。

100927_016.jpgカラーバリエーションは、TPUの明るい発色を生かすために、何十色ものカラーを打ち出し、その中で一番美しいカラーをチョイスしました。

touch.jpgTPUのしなやかさと形状安定性を利用して、タッチディスプレイの開口部を限界まで開き、画面の際に触れる操作があったとしてもTPUの縁には指がかからず、それでいてきちんとiPod touch 4thの前面まで回り込んだステンレスボディを完全にカバーするサイズを実現しました。TPUの薄さと相俟って、きちんと中身を保護しつつも、タッチディスプレイの操作感を殆ど損なわないケースに仕上げました。


付属品へのこだわり

101001- 011.jpg液晶保護フィルム、レベラー、埃取りテープ、Dockコネクタカバー、クロス、など、おなじみの付属品に加え、今回はCableClipという新しい付属品を全てのSimplismシリーズに付属しました。
このCableClipは、私たちのデザイナーの自信作です。
開発自体はかなり古く、今年の1月に行なったCESというラスベガスで行なわれたエレクトロニクスショーに私たちが出展したときに、ノベルティとして開発したものです
余ったケーブルを「緩やかにまとめてクリップ」することで、CableClip自体のサイズは小さく抑えつつも、30cm位であれば余ったケーブルを十分に巻き取れます。
ケーブルをほどいてもまったく邪魔にならず、私も毎日愛用しています。cableclip.jpg
※意匠登録取得済み
 意匠登録番号:1389346

今回のTPUケースは、本当に様々な苦労を乗り越えて、リリースまでこぎ着けることが出来ました。
それだけに既存のTPUケースとは一線を画す、素晴らしい完成度になったと自負しております。
TPUと言う素材の良さを最大限生かすことで、シリコンとハードカバーのアドバンテージを併せ持った
「Simplism TPU case set for iPod touch 4th」
是非とも一度、店頭などで実際にお確かめ下さい。

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